ビター チョコレート




「開けていい?」


そう聞きながら、私の返事を待たずにラッピングのリボンを解いた。




そして、丁寧に、ラッピングを剥がし、蓋を開け、チョコレートを一粒取り出し、口に入れた。




「君も食べる?」


机から離れ、私の前に立つと彼の腕が私の腰に回された。




引き寄せられ、少し背伸びをする形になり、軽く上を見上げると彼の少し長い前髪がすぐ目の前に現れた。


そして、有無を言わさず、私の唇を奪った。




「んっ…!!」


彼の舌が唇を割って入ってきた。




ほろ苦い甘さが口の中に広がる。




チョコレートの甘さと彼の温もりが私の頭を麻痺させた。






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