私の風
かなり
沖の方まできた。



別に
弥月が居ようと
関係ない。

自分のサーフィンを
するだけ。



息を思い切り
吸い込む。

潮の香りと
共に、
風の匂いがする。



幸せ。



ゆっくり
目を閉じる。

そして
ゆっくりと
目を開けて



勢いよく
波に乗る。





まただ…。





直感的に
感じた。



あの時…



弥月と会った時、


いつもと
波が違った。


波が喜んでる。


海が…






喜んでる。






はっとして
彼を見る。


じっと私を
見ている。



彼は
波に浮かぶ
サーフボードの上で、

まるでベンチに
腰掛ける
ようにして、
私を見ていた。




…何?!




弥月…
あんた
何者なの?!



サーフボードから
飛び下り、
海にダイブする。




「なんでサーフィンしないの?
私の下手なサーフィンより、弥月のサーフィンが見たい。」



弥月は
驚いた表情を
浮かべながらも
ボードから
腰を下ろした。



「…まぁ、いっか。…いつでも見れるしな。」







訳の分からない事を
言って、
彼がさらに
沖に繰り出す。














海にいるのに、

潮の香りが



濃くなった

気がした。
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