私の風
「弥月!!!」




突然かなりの
大声で呼ばれ、
驚いて
振り向く。






そこには、
あいつの
ボードだけが
浮かんでいた。







嫌な予感が
頭をよぎる。







「沙鵺!!」





慌てて
ボードから降り、

クロールで
沙鵺のボードの
元に行く。




「沙鵺!!」




見当たらない。




焦る。




昨日知り合った
ばかりなのに、
これほどまで、
必死に
なっている。






「弥月~。」






と、突然。




沙鵺を探して
泳ぐ俺の
背中に、

ずしりと
体重がかかる。




全く
気付かなかった。




「弥月~。」

「なんだよお前!びびらしやがって!」

かなりむかついた。

俺は本気で心配した。
冗談でも許せない。



俺の
背中から離れない
この14歳を
引きはがし、


本気で
怒ろうとした
その時、

沙鵺の目に、
海水以外の
水が光った。



「…泣いてるのか?」

「寂しいよ。寂しいよ。」

「何がだよ。」

「うー。弥月に見放されて、
一人でやるサーフィンなんて、
やりたくないよ。」

「お前、本当は幾つだよ…。」








意味が分からない。

見放す?

何なんだ。










俺にとっては
初めてなんだ。

お前のような
存在は。
















見捨てるわけが
ないのに。
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