私の風
笑いがおさまった
ところで
鏡について
再度聞くと、


どうも俺に
俺のサーフィンを
見てもらうために

鏡を持って
サーフィンをしろと
いう意味だった
らしい…。



「お前は何を考えてるんだ?」

「だって弥月のサーフィンの凄さを、
弥月に知ってもらいたかったんだもん。」


俺と同じ事
考えてたんだ。



…なのに、
どうしてこうも
違う答えが
出るんだ?


「…無理なのが想像つくだろ。考えてみろ。」

「考えたよ!
考えて、弥月にやってみてもらおうと思ったの!
絶対笑えるよ。」

「お前が楽しみたいだけかよ。」

「そういう事になっちゃうか…。ごめん、弥月。」

「まぁいいけど。
無理なのに気付いてくれて良かったよ。」


変な事を
やらされずにすみ、

心底、安堵する。


「それより、さっき初めて私の名前呼んだよね?」



これまた
かなり唐突。



「…呼んだっけ?」

「呼んだ!『沙鵺!』って。」

「ふーん。」

「ふーんじゃなくて!
これから名前で呼んでね。
あ。さやりんでもさやっちでもいいよ!」


無視して
沖に向かって
泳ぎ出す。


「ちょっと!シカト禁止!!」


後ろでする
沙鵺の声に
苦笑しながら、




海に
誘われるがまま、





沖へ
沖へと
泳いでいった。
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