私の風
沖へと
泳ぎながら

後ろを
振り返る。



なんだか
複雑な顔を
しながら、

俺を追って来る。



よくよく
考えてみると、

俺が怒鳴った
理由って

あいつが
自分の凄さを
理解していない
もどかしさからだ。



不思議だな。



あいつは
俺の方が
上手いと
言い張り、

俺は
あいつの方が
上手いと
言い張る。

そんな喧嘩。


妙な喧嘩だな。


俺は
他人に対して、
かなり冷めてる
と思う。


他のやつが
どんなに凄かろうが、

俺は俺。
他人は他人だ。



その凄さに
気付いてなくても、

どうでもいい。



けど、



あいつには

心底勿体ない。
気付いて欲しい。

と感じてる。



むしろ、

バカかあいつは?!
自分で気付けよ!

ぐらい思ってる。





多分、

俺は初めて
他人を
尊敬してるんだ。


あいつの
サーフィンを
見てしまった。


あいつの凄さに
気付いてしまった。


そして
生まれてしまった
この感情。



あいつの
サーフィンを
一番近くで
見ていたい。


あいつに
俺の気持ちを
分かって欲しい。



…そして



あいつの
サーフィンも

あいつ自身も




一生、


手放したくない。


という、


強い

強い感情。
< 41 / 99 >

この作品をシェア

pagetop