私の風
風が強くなり始めた。


朝の7時。


あ。


学校!


やばい。



「おい!もう7時だぞ!
学校遅れるぞ!」


離れた場所
にいる沙鵺を
大声で呼ぶ。





返事が無い。


風が強くなって
かき消されたか。


そう思い、
もう一度
呼んでみる。


「おい!沙…。」


ゴオオォォ。


突風が吹く。




何だ?!




今のは一体
何なんだ?!




沙鵺は
この風を、

ものともせず
サーフィンを
している。



なんだか
暑くも無いのに
首筋に汗が
流れる。



「おい!沙鵺!!」



少し早口で
叫ぶ。



「…え?あ。よ、呼んだ?」



いきなり
我に返ったように
慌てて俺を見る。




ほっとする。




「全く。
呼んだ?じゃないよ。」










風はその時
すでに
止んでいた。
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