私の風
「くっ…!」

「ほらほら。吐いちまいな。楽になれるぜ。」

「屈しない!私はお前なんかに屈しないぞ!」

「強情なやつめ…。どうしても言わない気か?それなら…」

「ちょ、ちょっと!!映画の観過ぎだよ!
ちゃんと普通に話そうよー。」


私と美奈の
なりきりごっこに
強制的に
終止符が打たれる。

「いいとこだったのに。」

美奈がにやりと笑う。

「これからだったのにね。」

私もにやりと
笑って見せた。

「だから止めたの!!」









いつもの笑い。
いつものリズム。

学校も大好き。
桜も美奈も大好き。

かけがえが無い。




代わりはいない。

欲しいとも
思わない。




今まで
すごく満たされてると
感じてた。




でも違う。




桜も美奈も
失ったら
生きていけないかも
しれない。



それでも違う。



桜も美奈も
一緒にいて
すごく居心地が
いいし、


言いたい事が
言える仲だ。



けど…、

けど、違う。





弥月といる時と、
桜や美奈といる時の

違い。


みんな大切。


だけど、度合いが
違う気がする。


なんだか、
うまく説明できない。


けれど、
沙鵺の心は、

はっきりと違いを
感じとっていた。
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