私の風
チャイムが鳴る。

放課後を知らせる
チャイム。


「さぁ。」

「行こう。沙鵺ちゃん!」


おぉ?

い、いつもは
大人しい桜が
今日は
何だか強いな。


「マックでいいっしょ。」


美奈は
そう言って、
私をどんどん
引っ張っていく。


参ったなー。

放課後まで
焦らした事で

逆に意味深な
感じに思ったか?

弥月ー。
この二人に
説明してよー。



説明が苦手な
私は、
この状況から

逃げる手段を
考えつつ、

無駄と分かりつつ
心で助けを
呼んだ。



「私、コーラ。ほら桜も。」

「え?え?…じゃあ、オレンジジュース…。」


なんか
勝手な事
言ってる?!

「ちょ…。まさか私のおごり?!」

「そうよ。沙鵺のおかげで、
今日の授業全然集中できなかったんだから。
授業料の分と待たされた分、返してもらうわよ。」

「あ…。私は自分で…」

「桜の分もね!」

桜の言葉を
遮って、
美奈が言う。


がっかりしながらも、
美奈に逆らえず
二人に
飲み物をおごる。







「はぁ。こんな事なら意地でも黙っとけばよかったかな。」







海の傍にある
この店は、

強い潮の香りが
いつでも店内に
漂っていた。
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