私の風
「で?何があったんだよ。」

「別に。サーフィンしてたら、
時間見るの忘れてたんだよ。」

二人とも、

俺が毎朝
サーフィンを
していることを
知っている。



「16年間の習慣なのに?」

「今日だけ時間に気づかなかった?」

「へぇー。」
「へぇー。」



ちっ。

完全に
信じてない。


「いつから弥月君は、
嘘をつくような子になってしまったんでしょうね。」

「全く。俺は情けないよ。」


二人して
勝手な事を
言い始める。


「…知り合いに会っただけだよ。」


ついに観念して
ポロリと
口に出してしまった。


「知り合い?!」
「知り合い?!」


二人同時に
叫んだ。


「うるせぇな。」

「知り合いって?俺たち知ってる?」

「知らないんじゃん。」

「何それ!誰だよ!!」

「言ってもわかんないよ。」

「いいから言えー!」

敏が
ものすごい勢いで
質問してくる。


「いいよ。放課後な。」


正がクールに
言い放ち、


「ちょ…」

「そうだな。放課後質問攻めだ。」


敏もにやりと
言い放ち、
席に戻っていく。


「おい…」


キーンコーン…


俺の声は
チャイムに
かき消される。





しまった。






完全に
やられた。






ため息をつき、
窓の外を見る。



窓から見える
海が、

太陽に
照らされながら、

きらきら
笑っていた。
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