私の風
「沙鵺?」



近くに来た
見知らぬ女の子が
沙鵺を見て
近寄ってくる。


沙鵺の…友達か?



「あ…美奈…」


ばつの悪そうな
沙鵺の顔。



「あんた何やってんの?ってか誰この人たち。」



俺たち三人を
ものすごい形相で
睨み付けてきた。





「こ、この人たちは…えーっと…」

「あんたたち、沙鵺の知り合い?」


私の返事が
遅いのに
痺れを切らし、

弥月たちに
話しかける。


私がトイレから
なかなか
帰ってこないのと、

早く色々
話が聞きたいのと、

自分の知らない人を
私が紹介しないのに、


かなり
イライラしている。


やっばー…

美奈は、
年上とかにも
全く躊躇しない。



弥月たちが
逆に戸惑っている。


「あ…いや…なんというか…」


敏が重い空気に
耐えられなくなって

言葉を
もらす。


「何?」


すかさず
沙鵺の
友達らしき人が

敏を
にらみつける。


「あ…いや…」

「こいつの知り合いです。」


あまりに哀れな
敏に同情し、

俺が横から
言葉をはさむ。




「知り合い…?」




呟くように
言葉にすると
沙鵺の顔に
向き直る。

「もしかして…。」

「はぁ…。その“もしかして”です。」



美奈の顔が
花が開いたように

ふわっと
綺麗に笑い、

そのまま
私の顔に
最高の微笑を
投げかけた。









やっちゃったー!
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