甘い茶色を下さい。
翌日、放課後に私は枯れた桜の木の前にいる陽一郎と遭遇する。

やっぱり朝に渡しても断固拒否されてしまった。

ていうか女の子から沢山チョコ貰っているのに、どうしてまだ貰おうとするか分からない。

1個や2個じゃなくて少なくとも15個は貰っている。

貰えない子は貰えないのにそれだけ貰っておいてまだ欲しいって一体。

出会って真っ先に陽一郎は必ずこう言う。


「甘い茶色を下さい」

「はい、あげる」


チョコとは言わずに“甘い茶色”と。変わった言葉。

晴れた寒空の下で何時ものようにチョコを渡して、何時ものように家へ帰る。
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