甘い茶色を下さい。
此処でももう1つ不思議な事が起こる。

チョコをあげて喜ぶ筈の陽一郎は、毎回毎回貰った途端に悲しそうな顔をする。

“いらないなら返して貰うよ”と言っても、“いらなくないよ”と首を振る。

そして今回も。だけどちょっとだけ違ったのは……


「待てよ、美和子」


私を呼び止めたのだ。その声は何かまるで必死に訴えるような声だった。


「何? それが欲しかったんでしょ?」

「そうだけどさ……でも、あの、その……」


男のくせにもじもじするなとツッコミたくなった。
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