甘い茶色を下さい。
「……? 用は済んだでしょ? だったらもう帰るから。」

「いやいやいやいや……ちょーっと待ちましょうか、美和子サン」


帰ろうとすれば引き止められて。


「最初から伝えれば良かったんだな」


何ぶつぶつと独り言を言っているのかが分からない。

私に何かを言おうとしているのは分かるけれど、すぐに口ごもる。

はっきり言えと言う軽い苛立ちを、陽一郎にぶつけようとした時。

さっきと同じような真っ直ぐな黒い瞳で、陽一郎は言う。


「だからっ! 俺はお前が欲しいって言っているんだよ」


私がお前に抱かれろとでも? 変態か。……確かに私は茶髪だけども。
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