甘い茶色を下さい。
「……はっ」

「え、何その笑い!?」

「私は甘くないし食べ物でもない。
食べる気満々だったら言っておく。……このド変態がぁー!」


陽一郎に思い切りグーパンチをお見舞いした所で、私は猛スピードでその場を去った。

あの真剣な目に少しだけドキッとしたのがバカみたいだ。

誰かと話す気にもなれず、誰かに声をかけられても聞こえないフリをしてさっさと帰った。





部屋に戻るなり私はベッドにうずくまり、この変な気持ちを鎮めようと必死になる。

あいつが毎年“甘い茶色を下さい”って言っていたの、告白のつもりだったの?
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