太陽はいつも雲の上で照り輝いている
悲しそうな目の母に
気丈になり、笑顔で話した

『お母…お父…逝ったよ。旅立ったよ…』

泣き崩れる母を、支え抱きしめ何度も何度も、震え崩れそうな肩をしっかり掴んでいた

『お父さんお父さん』

繰り返し、お父の名前を呼ぶお母

『お母、お父は、これでよかったんやで、お父らしく、最後まで家族に迷惑をかけずに、静かに逝ったから、これでよかったんやで』
『よかったんかな、風助、よかったんかな』

『お母、お父綺麗にしてくれてるから、部屋に戻って待ってよ』

震えが納まらないお母
いつも、一緒で、いつも寄り添いあってた2人
障害をもった、お母を大事に大切にしてきた49年
受け入れられるはずのない、お父との別れ

『お母、お父ってホンマ家族や人様には太陽やったな、どんな時もみんなを照らしてくれてたよな。僕は、お父がこれからも照らしてくれると思うよお父は太陽なんやから』

お父が残してくれた、数多くの言葉
どんな物よりも
僕には、形見として
宝物

お母を頼みます、わしの宝物を頼みます。
そんな、お父の声が、しっかりと耳に届いた

そして、お父と同じ太陽になろうと心に決めた、夏の1日……
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