連続短編ブログ型小説 『一人暮らしの女』
スモーカーズ
おとついの晩、 「おばあちゃんが昨日あなたにトマト送ったみたいよ。届いた~?」 と母親からメールが来た。私は宅急便屋さんの不在者届けを見ながら 「あ、トマトなんや・・・。」 と答えた。トマトかあ。しかもこれ、クール宅急便じゃなくて普通便になってるよおばあちゃん・・・。私は仕事でしばらく宅急便を受け取ることができないしアパートの宅配ボックスに入れておいてもらっても この暑さで確実に腐ってしまう。とりあえず宅急便屋さんに電話をし、夜間の便で持ってきてもらってアパートの宅配ボックスに入れといてください、と頼んだ。そうすれば少なくとも白昼に宅配ボックスに入れられるよりはマシだろう。「生ものとかじゃないですか?宅配ボックスに入れて大丈夫ですか?」 と聞かれた。トマトだと伝え、「やばいのでとにかく夜間の便でお願いします。」 と言った。昨日、仕事から帰って来て宅配ボックスを確認したがトマトは無かった。そしてまた不在者届けが入っていた。 終わったよ・・・・・・また持って帰っちゃったよ。ボックスに入れといてって言ったのに・・・。 「お母さん、もうトマトはダメだ。」 とメールした。そして今日朝一で電話をし、また夜間の便でお願いした。そして 「あの、実は私昨日も電話したんですが・・・」 と言うと、「え、もしかしてトマトですか?持って帰ってしまいましたか!?ちゃんと指示が届いてなかったのかもしれないです。すみません。」 と返事が返って来た。話が早い。 「10時過ぎに仕事へ出かけて、帰宅するのは夜中です。」 と伝えたら電話の一時間後、腐ったトマトを持って宅急便屋さんは来た。開けて見るとほぼ全滅していたが かろうじて生き残っているトマトを急いで冷蔵庫に入れて残念なトマト達は処分した。おばあちゃんに 「トマト届いたよ、ありがとう。」 と電話をし、母親にも 「おばあちゃんにお礼言っといたよ。」 と、電話をしようとしたのだが母親の携帯番号を検索し、発信しようとしたところで、やはりなんとなくやめてメールにした。すると 「あら~、食べれるのが有って良かったわねぇ。 あ、それからあなたが心配するだろうと思って言わなかったんだけど実は私、声帯にポリープができて14日に手術しました。今入院してます。まだ声は出ないけど。でも元気よ。体力をもてあましてます。」 と返事が返って来た。