海辺の狼〜イケメン4人に愛されて〜
「…それより、知り合いなのが夏だけじゃないってどういうこと?」
あたしが周りの邪魔にならない程度の声で聞くと、紅次郎は目を細めて優しく笑った。
…まるで大事な宝物の記憶を取り出すみたいに。
「俺と暦と夏…それにあの一之瀬凜って奴は、昔からの幼なじみだ」
「幼な…じみ」
紅次郎たちが古くからの友達だってことは知ってたけど、あの一之瀬って人もだったなんて。
みんなのこと、少しは分かってきたつもりだったけど…まだまだ知らないことだらけなんだなぁ…。
それにしても、何で一之瀬って人だけこの地元に住んでなかったんだろう?
さっき夏も『こっちに戻ってきてたんだな』みたいなこと言ってたし…。