海辺の狼〜イケメン4人に愛されて〜
「…その一之瀬さんっていうの、やめてくれ」
「え…そうですか」
「ああ。よそよそしい」
一之瀬さんは困ったように眉間に皺を寄せた。
ん〜…じゃあ何て呼ぶべきか。
『一之瀬』?
いや、いきなり馴れ馴れしいかな。
あたしは頭を抱え込んで悩む。
「…悩みすぎ。普通に『凜』でいいよ」
「おぉ、じゃあこれからは凜…でいくね!なんか可愛い名前だな」
「…そうか?名前だけ聞くと女みたいだろ」
一之瀬…じゃなくて凜が、歩く足を止めてあたしを再び振り返った。
…意外と食いついてきたことにびっくり。
気にしてるのかな。
「いーや!!すごい素敵な名前だと思うよ!!」
「………」
凜は何も言わずに真顔のままあたしをじーっと見ている。