海辺の狼〜イケメン4人に愛されて〜
あれ…何?
もしかして、あたしの顔に何か付いてた?
そんなあたしの不安をよそに、凜はくるりとあたしに背を向けた。
そして「…そうかそうか」と呟きながら歩き出した。
え…もしや凜くん、気にしてた名前を誉められて、ちょっとだけ喜んだ!?
あたしは脳内でしょうもない妄想をめぐらす。
「…何で付いてくるんだ」
「駄目です?」
「…お前、朝練行くんじゃないのか」
「え…凜は行かない、の?」
あたしがそう言うと、凜は何となくバツが悪そうに目を逸らせた。
「俺は…寄ってくとこあるから」
「そうなの?あれ…でもここからだとあそこしか寄るとこないけど」
「………」
凜は黙ってしまった。
2人の間に沈黙が流れる。
まだ早い蝉の鳴き声が、あたしと凜との沈黙を埋めていた。