海辺の狼〜イケメン4人に愛されて〜
「見ないうちにすっかり男前になっちゃって…はい、これサービス」
おばさんは、凜の手にたくさんの駄菓子屋を握らせた。
「いいのか、おばちゃん」
「いいのよ、持ってって!一緒に食べてね、彼女さんと!」
「「違います」」
あたしと凜の声が揃った。
おばさんは口に手を添えて「まぁオホホホホ」と陽気に笑っている。
「…おばちゃん、じゃあ」
「さようならー」
「はいはい、また来てね〜」
やたら気立てのいいおばさんを背に、あたし達は駄菓子屋を出た。
「…お前のせいで変な誤解受けただろ」
「こっちの台詞」
「……………」
あ、拗ねた。
凜は足元に転がっている石ころを蹴っている。
「それにしても、随分通ってたんだね、あの駄菓子屋」
「丁度通学路にあるからな」
「そうなんだ」
とりとめのない会話をしながら歩く。
朝練開始の時間まで、もうすぐだ。
ここからだと余裕で間に合うだろう。