海辺の狼〜イケメン4人に愛されて〜
第二章
風邪引き狼
―うだるような暑さだ。
まだ夏じゃないって言うのにさ。
神様、もう少し涼しく過ごさせてくれたっていいじゃないか。
「…うぁ〜…あちぃ」
あたしは机に伏せて、真夏日の放課後を乗りきろうとしている。
「遼、だらしないぜ」
「そういう夏こそ、魂抜けてるよー」
「俺は平気だ。夏男の夏だからな」
「…わけわからんわ」
前後の席同士で、グダグダな会話をするあたしと夏。
「…二人とも、早く部活に行きなさいよ」
そんな状況を見兼ねて、暦くんが怖い顔をして言った。
「鬼だぜ暦ー」
「暦くんは暑くないのー」
「暑いと思うから暑いんですよ。分かったら早く部室に行きなさい」
暦くんは丸めた教科書で、夏の頭を叩いた。
「いてっ」
「如月さん、君も叩かれたいんですか」
「い、いいです…部活行きます…」
もう少しこうしてようと思ったけど、暦くんに本当に叩かれそうだったのでやめておいた。