海辺の狼〜イケメン4人に愛されて〜
「……つ?」
今、凛が何か言った。
ボソボソと呟く程度だったから、よく聞き取れなかった。
「え、何か言った? 凛」
あたしが問いかけると、凛はうっすらと目を開けた。
そして、布団をかけるあたしの手首を力が入らない手で掴む。
「…り、つ………律?」
「え…な、何…?」
今度は聞き取れた。
けど、それが何なのか、何を意味しているのか分からない。
『リツ』
確かにそう聞こえた。
「律っ」
握られた手首にグッと力が入る。
もう少しで体のバランスを崩すところだった。