海辺の狼〜イケメン4人に愛されて〜

「お前が気にすることじゃない」

凜はそう言うと、あたしが机の上に置いておいた水を飲み干した。

濡れた口をごしごし、と拭うと、もう一度ソファに倒れ込んだ。


あたしには関係ない、か。
凜の中で何か言いたくない出来事が思い出されたことは、人からよく「鈍い」と言われるあたしでも解った。


それを聞くのは、凜が言いたい、聞いてほしいと思ったときで構わないとも思った。

しょうがないから、待ってるとしよう。


「あ、水……ありがとうな」

凜が呟くように言った。

声はまだ鼻声だ。


「いいよ。熱あるんだから、じっとしててよ!!あと何か欲しいものあったら言って」

「…そこまでしてもらったらお前に悪いだろ」

凜が困ったような顔をした。

「じゃあ一体誰が看病するんだよっ」

あたしが凜を睨み付けると、なぜか凜は微かに笑った。

「………じゃあ」

「何?」

「…イチゴアイス食べたい」


目線をふいっと外した凜。
多分恥ずかしかったんだと思う。

本当に猫みたい(に可愛い)と思ってしまった自分が居た。


あたしはニヤリと笑うと、冷蔵庫の扉を開けてレジ袋をがさがさ。

不思議そうな顔をする凜を見て、もう一度ニヤリ。

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