海辺の狼〜イケメン4人に愛されて〜
動き始めた、人、人。
数日後。
「うへぇ…今日もこれまた暑いっ!」
「だな…」
いつものように、朝練へ向かう。
隣で、夏がうちわで顔を扇ぎながら歩いている。
「うちわ持ってくるなんて、準備いいね」
「だろー! 遼も扇いでやろうか、十秒五百円で」
「高っ…遠慮しとく」
夏はケラケラ笑っている。
汗かいてても、いちいち爽やかな奴だな。
「そういえば如月さん、一之瀬くんはどうでしたか? おととい、お見舞いに行ったんでしょう」
数歩前を歩いていた暦くんが、あたしの方を振り返って言った。
凛はあたしがお見舞いに行った次の日も、風邪がすっきりしなくて休んでいた。
「おとといは熱もあったし辛そうだったけど…昨日はお見舞い行ったのあたしじゃないからわかんないよー」
「そうですか」
暦くんは眼鏡のフレームをくいっと押し上げると、もう一度前に向き直って歩きだした。