海辺の狼〜イケメン4人に愛されて〜
「おい」
「え?」
ふいに声をかけられ、振り向くとそこには凛の不機嫌そうな顔。
「これ、やるよ」
「んな、何?」
凛がずいっと握った手を差し出すから、あたしも慌ててその下に手を開ける。
バラバラと、凛の拳の中からたくさんの飴が落ちてきた。
「お見舞いのお礼しなきゃいけねぇと思ったんだけどな…今こんなんしか持ってなくてよ…ごめんな」
「ほぉー…ううん、嬉しい。どうもありがとう」
「………ソーダ味…好きかと思って」
ぼそりと呟いた凛。
自分の掌の飴に目をやると、それが全部ソーダ味だった。
な、なぜにソーダ味?
確かに好きだけど、ソーダ味。
「前にアイス食べたときソーダ味だっただろ。それで」
「あぁ、なるほど!」
不思議そうにしているあたしの気持ちを読み取ったのか、凛が言った。
あたしは自分の食べたアイスの味を凛が覚えててくれたことに少し嬉しくなった。