海辺の狼〜イケメン4人に愛されて〜
「…気付いていないんなら別にいいですが。それならそれで俺も遠慮はしませんがね」
「……こよ、み?」
「如月さん、黒板消しは君の仕事ですよ」
呼びとめる俺の声を聞いて微笑した暦は、スタスタと自分の席の方へ歩いていった。
何だよ、さっきの顔。
余裕…って言葉がピッタリの暦の顔。
わけわかんねぇよ!
何だ、何だ??
「あー夏!」
「っ!?」
俺を呼ぶ遼の声に、過剰に反応してしまった俺。
俺は…もしかしたら。
俺…こいつのこと。
「暇なんだったら黒板消すの手伝って! 上の方消すのめんどくさいから」
「え? あ、あぁ分かった」
ドギマギする俺を不審な目で見る遼の視線。
俺はそれに気付かない振りをしながら、黒板の消し残しを雑に拭き取った。
俺のこのわけわかんない気持ちも、消えればいいのに、と思いながら。