海辺の狼〜イケメン4人に愛されて〜
「…じゃあ俺、先に荷物置いてくる!!いいだろ、暦」
「はい、相馬くんの部屋は一之瀬くんが入ったコテージの奥です」
「りょーかーい…あ、荷物多いから紅次郎も手伝ってくれ」
「分かった」
夏と紅次郎は、重そうな荷物を持ち上げると、さっさと歩いて行ってしまった。
置いてきぼりですか。
あたしはため息をひとつ。
「…おや」
「ん?」
隣で、まだ残っていた暦くんが不思議そうに呟く。
「誰のでしょう、このタオル」
「あ…それっ」
暦くんが拾い上げたタオルには、なんとなく見覚えがあった。
…確か、あたしがタオルを忘れたとき、凛に貸してもらったやつだ。
「それ、多分凛のやつだよ」
「そうなんですか?…一之瀬くん、他に予備のタオル持ってるんでしょうか」
「どういう意味?」
「他にタオルを持っていなければ、濡れた体を拭くことができないでしょう」
…なるほど。
暦くんのバカ丁寧な説明を受けて、あたしはやっと理解した。
「…困りましたね」
暦くんは辺りを見回す。
そしてその視線は、ピタリとあたしのところで停止した。