彼女は殺人願望の塊で。(仮)
ましてや真実か比喩なのかもわからない言葉に
繰椰は必死に思考回路を巡らす。

繰椰はふと屋上を見渡す。

いつもとなんら変わらない風景。
足元に目を落とすと…瘡の背後の物に気付いた。

そこにあったのは、

二つのお弁当箱。

そこで、繰椰は合点がいった。
「瘡、ごめんね。おれが悪かったよ。」
「そんな謝り方で許されると思って?」
「思ってないよ。」
繰椰は続ける。
「瘡のことわざと待たせてたんじゃないんだ、誤解しないで?」
「そう。それじゃあ何故遅れたのかしら?」
「最初から来なかったのは、柳と昼飯をとっていたんだ。それと…ごめんね。」
「最後のは、何に謝っているのよ」
「折角瘡がお弁当、作ってくれたのに…おれの考えが甘かったからだね。ちゃんと“昼休み”の言葉の通り、初めから来てれば瘡と一緒にお昼とれたのに」
「そうね。あなたが言葉をそのまま、ありのまま受け止めて来てくれればよかったのよ」
瘡の受け答えには繰椰にしかわからない、棘が含まれていた。
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