パンドラの箱





"それ"が何なのかわかったとき、
あたしは震えが止まらなくなった。



髪の長い女の人。
肌が黒ずんでいる。

それだけでも怖いが
それ以上に怖いのは、
その女が浩汰を食べていること。





あの音は
人を食べている音だったんだ。

浩汰を貪る光景は
目を覆いたくなり、
あたしは思わず吐いてしまった。




逃げなきゃ―
逃げなきゃ―
逃げなきゃ―


でも、
体が動かない。
これが金縛りなのだと思った。


ゆっくりと
女がこちらへ向く。



             
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