Red Dragon
維世
少し離れて隣を歩く、俺より頭1つ半ほど低いところで揺れる緩く巻かれた茶色い髪。
「…………」
「…………あの」
歩き始めてから約10分、先に沈黙を破ったのは彼女だった。
「ん?」
クラスメートとしてたまに言葉を交わすくらいで今までそんなに意識したことはなかったが、兄に暴走族がいるとは信じられないくらい静かな娘だ。
「勝手なことばかりして、ごめんなさい」
最後の方にいくにつれてだんだんと声が小さくなってくる
「…………今日、百瀬さんがなんで来たかはだいたい分かるけど……」
視線を横にずらすと少し下で困惑したような大きな瞳とはちあう
「こんな時間に女の子が1人で来るような所じゃないよ」
ゆっくり、諭すように微笑みかけると彼女はまた「ごめんなさい」と小さく謝った。