Red Dragon


「今日たまり場行く?」

箸で弁当をつつきながら、パンをかじる貴羅と、紙パックのジュースを飲んでいる緋音に問う。

「あぁ、行く」

緋音の返答はないが、貴羅が行くのだから緋音も行くのだろう。

そこで、目の前の扉が錆びたような音をたてて開いた。

「遅くなりました」

顔を向けると手に重そうな紙の束を持った維世。

「維世?なにそれ」

紙の束を俺達の前にどすんと置く維世。

「来る途中で黒崎先生に捕まりまして、手伝ってください」

見れば数学問題のプリントの山。


「………パス」

「右に同じ」

「じゃあ律ですね」


出遅れた。


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