愛 玩
本当に、ゆっくりと静かな時間が出来てから、自然と優しくなれる自分をやっと好きだと思える様になった。



ずっとわたしは自分を好きになれなかった…と、言うより、好きなんだけど好きになっちゃいけない様な気がしていた。


居なくても良かった筈なのに、間違えて生きてたって思っていた。
でも今わたしは確かに必要だ。



娘は母乳だけで充分育っていき、とても嬉しく授乳にも癒された。



息子には母乳をあげられなかった想いが募る。

産まれたての息子はオウチに帰るまで『飲む子』で、母乳だけでは足りず、わたしの就寝中に看護婦さんたちが『またオヤツあげちゃった♪』と白湯を飲ませるくらい、成長にノリノリな子だった。



そうだった。
オウチに帰ってからは、わたし泣かせな子にり母乳がうまく飲めなくなったのだ。



姑の見せ物となり、頻繁に宴に連れ出され新生児の息子は玩具のように手から手へと居場所を変えた。

母乳をあげる時には必ず舅が息子を触りにきたことがとても嫌で、わたしは、人のいる所で母乳をあげる事が生理的に出来なくなった。


それでも時間になると胸は張る。


事前に搾乳し、急なお出かけに嫌な思いをしなくてもいいように常に備えてせっせと保存した。

すぐに母乳はうまく分泌出来なくなって、たったの20日足らずで止まってしまった事を、自分のせいだと反省し、息子に言葉にならない謝罪をした。



とても切なくて悲しみにとらわれ、自分の価値は下げて行動した。



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