ふたりで、生きよう
第1章
ストーカー?
これはストーカーになるのだろうか?
私は今、スーツ姿の大人が行き交うオフィス街の一角にあるビルの前に立っている。
すれ違う人々が怪訝そうな顔をして私を見ているのは多分、私が制服姿だからだろう。
はっきり言って場違い。
でも私は全く気にしない。
だって制服で立ってちゃいけないだなんて規則はないから。
私は携帯のサブディスプレイで時間を確認し、ビルの入口を覗き込んだ。
しかし私が待ち望んでいる人はまだ来ない。
もしかしたら残業なのかな。
会社の仕組みなんて知らない私はとりあえず夕方になるとここに来る。
だけど定時で彼が現れたのは片手で十分なほどだった。