リトルロード・セレナード ~赤の王女と翡翠の騎士~
「姫様がそのような」
「やー、この子はアリスのなのー! きのーアリスがつかまえてって、アレクにめーれーしたんだから! どっかにやっちゃだめぇえ!」
「……そうなのか、アレクシス」
視線が痛い。
上の命令には逆らえない、それが騎士の定めではある。アリスがじっとアレクシスを見ていた。幼いながらに良く回る思考力の持ち主であった。
話を合わせろという意味に違いない。
「えぇっと、はい、その姫がご自身で捕まえにいくとおっしゃるものですから、危険ですから私が、とお止めしたのは確かです。それで森へ」
きつねをつかまえに。
という一言は飲み込んだ。
少女を見つけたのは偶然だったが、こうなっては仕方がない。王妃と騎士団長は色々と相談を重ね始めた。その間、怯え続ける少女をアリス姫が抱きしめる。アレクシスが歩み寄った。
「大丈夫?」
娘は答えない。
「目を覚ましてくれて良かった。私はアレクシス・カーナヴォン。アレクシスだよ、アレクでもいい。言ってる意味、わからないかな。ア・レ・ク・シ・スだよ」
自分を示しながら、何度も名前を繰り返す。
すると少女は、彼を指をさして首を傾げた。
「……アレクシス?」
「そう! 私はアレクシス、騎士なんだ。こちらは姫様」
「あたし、アリス。あーりーす。よんでみて! あ・り・す。あーりーす」
身振り手振りを交えて、ようやく意味を悟り始めた。
「……アレクシス、……アリス」
「君は? 私はアレクシス、こちらはアリス姫様、君の名前は?」
視線をのぞき込み、少女は自分を指さした。
「モモセ・アイコ」
この日。
王妃と姫を乗せた一行は、一人の客人を迎えてカーナヴォン領へと旅立った。
+ + +
蝋燭の炎がゆらめく。
「きつねさん探しがなければ、私はそのままだったんですね」
「やー、この子はアリスのなのー! きのーアリスがつかまえてって、アレクにめーれーしたんだから! どっかにやっちゃだめぇえ!」
「……そうなのか、アレクシス」
視線が痛い。
上の命令には逆らえない、それが騎士の定めではある。アリスがじっとアレクシスを見ていた。幼いながらに良く回る思考力の持ち主であった。
話を合わせろという意味に違いない。
「えぇっと、はい、その姫がご自身で捕まえにいくとおっしゃるものですから、危険ですから私が、とお止めしたのは確かです。それで森へ」
きつねをつかまえに。
という一言は飲み込んだ。
少女を見つけたのは偶然だったが、こうなっては仕方がない。王妃と騎士団長は色々と相談を重ね始めた。その間、怯え続ける少女をアリス姫が抱きしめる。アレクシスが歩み寄った。
「大丈夫?」
娘は答えない。
「目を覚ましてくれて良かった。私はアレクシス・カーナヴォン。アレクシスだよ、アレクでもいい。言ってる意味、わからないかな。ア・レ・ク・シ・スだよ」
自分を示しながら、何度も名前を繰り返す。
すると少女は、彼を指をさして首を傾げた。
「……アレクシス?」
「そう! 私はアレクシス、騎士なんだ。こちらは姫様」
「あたし、アリス。あーりーす。よんでみて! あ・り・す。あーりーす」
身振り手振りを交えて、ようやく意味を悟り始めた。
「……アレクシス、……アリス」
「君は? 私はアレクシス、こちらはアリス姫様、君の名前は?」
視線をのぞき込み、少女は自分を指さした。
「モモセ・アイコ」
この日。
王妃と姫を乗せた一行は、一人の客人を迎えてカーナヴォン領へと旅立った。
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蝋燭の炎がゆらめく。
「きつねさん探しがなければ、私はそのままだったんですね」