晴天
ユウヤとの遊びの事、シュウの失恋の事、コウヘイのありがたさ、サエのたくらみを考えていると、あっと言う間に5時限目、6時限目が終わった。やっと帰れる。
そう思ったときだった。教室の前のほうのサエの席から、一人の女がミサの方へ歩いた来た。アユミだ。
「美紗?今日、幸せそうな顔してるね」
「そう?アユミこそ、良いことあったでしょ?」
アユミとは、中学生からの友達で、今はあまりしゃべる事はないが、サエといる時以外は、アユミと話している。
「まじ?分かっちゃう?」
「分かるって!友達でしょ?で、何があったの?アユミの事だから、彼氏でもできた?」
アユミはチョット頬をピンク色に染めてこう言った。
「私、告白されちゃった。」
「やったじゃんアユミ!誰に告白されたの?他のクラス?」
「ん?古林和真に…告白されたんだ~」
「へ…へ~良かったじゃん!この際付き合っちゃいなって!」
ミサはちょっと心が痛くなった。
…サエも、古林の事好きって言ってたんだよね…。ミサ、どっちの味方に付けば良いの?
一人で、残酷に悩んで…少しの間、そこから動く事が出来なかった。
サエ…大切な友達。今までで一番頼りにしてる心友。アユミ…一番長い間友達として付き合ってきた…。
ミサには選ぶ事なんて出来ない…。でも、応援するしないに関わらず、古林はアユミに告白したんだ…。
そんな時、バタバタと言う足音に自分の世界から引き戻された。ドンドン教室に近づいてくる足音。
教室の前で足音が止まった。ガラガラと音を立てて、開いたドアの向こうに立っていたのは…。
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