晴天

「えっと…美紗ちゃんよな？」
「え？コ、コウヘイ…君。」
「呼び捨ててで良いよ。ってそれより、ユウヤが待ってた。早く行ってあげ？」
「はい。アリガト…」
コウヘイ…そんな事言いに来てくれたんだ。ため語と敬語が混ざった挨拶をして、慌てて教室を出た。
靴箱まで必死に走って、靴に履き替えて見上げた所には、アユミと楽しそうに話す古林の姿があった。
…サエ…サエは、何で早く告白しなかったの？ミサは、とても辛い気持ちだよ？でも、アユミには幸せになって欲しい…。
色々な気持ちが混ざって、ただアユミと古林を見つめていた。

「…紗…美紗？」
「…あ！ユウヤ～！ゴメンネ。ずっと待っててくれたんでしょ？」
「おう…。でも、気にする事無いから。…さっき、誰を見てたんだ～？」
美紗と同じ背までかがんで、美紗の視線の方を見た。そこには、まだ楽しそうに話す古林とアユミの姿があった。
付き合うことになったのかな？きっとサエは悲しむよね？…私、どうすれば良いの？
ふと、ユウヤの顔を見ると、なんだか悲しそうで、涙が溢れそうな声で言った。
「美紗は…あいつの事好きな訳？」
「あいつって…古林の事？」
ユウヤはゆっくりとうなずいた。
「私、古林の事好きじゃない。古林の事を好きなのは、友達なの！」
「そっか…よかった」
「…ねえ？今日、遊びに誘ってくれたじゃん？私でよかったの？」
「美紗じゃないといけないの」
「なんで？」
「何でだろうね～！きっと、俺の中の何かが騒いだんだろうね」
訳の分からない説明に、きょとんとしたミサ。なんで、私なの？何かって何？？しりたいよ…。
「今日、初対面で遊びに誘って悪いな」
「え？ううん。ユウヤ、優しそうだし、なんだか許せる気がしたから！」
「そっか…いこっか」
「うん」
ユウヤは、教室でわ見せてくれなかったやんちゃな笑顔をしていた。古林達のいる靴箱から離れて、校門から外の世界へ散歩をする。