†龍神の花嫁†
「ッッ!!!姫様!!!早くここから離れましょう!!!」
イリアは放心状態のソフィアの手を掴み走り出した。
「まっ、まって!!!今何が起こったの!?兵たちが…!!」
イリアはお構いなしに木々の間を駆けていく。
そんなイリアに呆気をとられながらも、ソフィアは必死についていった。
ソフィアもまだ16だ。
せっかくの命を無駄にはしたくない。
「ハアッ、ハアッ………
……キャッッ!!!」
そんなソフィアだが少し走った所で木の根につまずき派手に転んでしまった。
いくら立ち上がろうとしても足に力が入らず、
すぐに転んでしまう。
「どうしましょう…
足に力が入らないッ…!!イリア、あなただけでも先に逃げて!!」
心配して駆け寄って来たイリアに声をかけるものの、なかなか首を縦に振らない。
その間にも、兵たちはすぐそこまで迫っている。
「私が姫様をおいて逃げられる訳がございませぬ!!
姫様がいらっしゃらないのなら死んだ方がようございます!!」
イリアは弱気なソフィアに声を荒げた。
「イリア…………
私、もうすこし頑張ってみるわ…」
イリアの言葉を聞きソフィアは涙を流しそうになりながらもゆっくり地に足をつけた。
「さぁ、早く参りましょう!」
イリアたちは再び走り出した。