†龍神の花嫁†
「ラ、ラディス様?素敵なお名前ですね…」
そう言ったソフィアは、ラディスのあまりの美しさに見とれてしまった。
女と見間違うほどの端正な顔立ち、月に反射し輝く銀色の髪、優しげな瞳は美しい蒼色である。
―何て綺麗な男性なのかしら…
ジッと見つめていると、その男―ラディスがフッと微笑んだ。
『私の顔に何か付いているのか?』
「えっ?」
ラディスの問いにソフィアはハッとした。
「わ、私………
ごめんなさい……」
どうして、こんなにも心臓が暴れるのかしら…
ラディス様がいらっしゃるのに……
『何も謝る事はなかろう?それに、今し方そなたを追っていた者はもうおらぬ。』
ラディスは優しげに話しかける。
そんなラディスにソフィアは明らかに惹かれていた。
―――――――――――
そうこうしている間に、ソフィアはだんだん目蓋が重くなるのを感じた。
こんな時に眠くなるなんて……
それに、ラディス様にまだ私のお名前も申し上げてないわ………
私には帰る所も……
『……?如何した?』
ラディスがソフィアの様子に気付き尋ねると、ソフィアは一筋涙を流しながら眠っていた。
『なんと……眠ってしまったのか……
だがソフィア――――
そなたがこうして私のもとに来ることをどれほど待ち望んだ事か……』
ラディスは一人、ソフィアを抱き上げ呟いた。
一陣の風が辺りを吹き抜け、二人をどこかへ連れ去った―――