この想いを君に… −睦海の高校生活編−
翌日。

確かに見ていると奈々の動く手は明らかにあたしと違って遅かった。



「向き、不向きはあるよ」

休憩時間に井上さんと話をしていて、何気に聞いてみるとそんな回答が返ってきた。

「向いている人はそんなに苦労しなくても簡単に作業出来てしまう。
向いてない人は何度やっても同じような失敗をしたり時間が掛かってしまったりする」

井上さんは声のトーンを低くして

「ボクも自分があまり向いてるとはいえないけど…」

とあたしに耳打ちした。
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