この想いを君に… −睦海の高校生活編−
爆弾発言だったみたい。



塩野さんがア然としている。

「あたしは日本で頑張るつもりです。
…来年の夏以降には住吉さんと結婚するし。
彼も年齢が年齢だから、早く子供も欲しいだろうし」

周りで聞いていた井上さんも三木さんも…奈々も。

言葉を失っていた。



「あたしは…
タイトルとか名誉とかそんな物はあまり必要じゃない。
大切なのはそこに一緒にいる人達と、どんな風に過ごすか。
決して恵まれた環境じゃなくても、その中でどれだけ力を出せるか。
そして何よりも…楽しんでバイクに乗っているか、なんですよ」

奈々は俯いて微笑んでいた。

内心『むっちゃんらしい』なんて思ってるんだろうな。

「でも、チャンスがあれば世界に行けばいい」

塩野さんは言った。

「今の状態なら声も掛かるんじゃない?」

あたしは首を横に振った。

「あたしは知樹や智道みたいに世界へ羽ばたきたい、という情熱は持っていません。
やっぱり、行くならそういう気持ちを常に持っている人じゃないと」



こんな中途半端な気持ちは失礼だから。

あたしは少し前からそう思っていた。
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