【完】不良な君の甘い蜜
「…八重?泣いとるん?ねえ、俺は八重ば泣かせてばっかりや。俺が見たかとは、八重の泣きっ面じゃなかとよ?」



ミツは身体を触っていた手を止めて、私の腰に腕をギューッと巻き付けると、肩に顔を寄せた。



「別に…泣いてなんかっ…!」



「泣いとるし。じゃあ、こっち向いて?」



水で身体が浮いた状態の私はいとも簡単にミツの方に向かされる。



「ほら…ねえ、俺のこと、そんなに好かん?」



涙が伝う頬にキスを落としながらミツは至近距離で優しい眼差しを向けた。



睫毛の長い、くりくりの瞳が私を捕らえて離さない。
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