『私』という名の矛盾
ちょうど、私はお昼の12時過ぎに起きた。
少し頭が痛い以外は問題ないが、授業に出るのはダルイから早退する事に決め、教室に鞄を取りに行こうと、ベッドから降りた時、
「待って」
私の後ろのベッドから男の人の声がした。
「何かな?」
私もとっさに応える。
その声の本人は、ベッドのカーテンを開けて、私に少し近づいてきた。
「成ノ宮 麗奈...だろ?」
私に声をかけたその男の人は、髪が銀で盛って、見た目からチャラさ全開だった。自分の好みではないが、顔は良い感じにイケメンだ。女の子にモテそうな雰囲気がある。
私の名前は何故だか学校中に広まってるから、名前を知ってても疑問に持たなかった。
「そうだよ^^私は君の事、知らないんだけど」
彼の綺麗な切れ長の目が私の全身を見て、最後に私の顔をじっと見つめる。
「えっと~。何か私に付いてるのかなww?」
この人は何故こんなに私を見るのだろう?
初対面では少し失礼ではないか。
「ふーん。成ノ宮 麗奈って、思ったよりフツーだね。」
!?!?
いきなり初対面の人にこんな事を言えるだろうか?
フツーって何なんだ。
失礼極まりない男だ。
私はシカトをしようと思ったが、それでは私もこの男と同じ部類になるから、
「あ~そうなの。私フツーの人だからさ。じゃあね」
少し苦笑いで言って、私は素早く、かつては天国であった保健室から出て、思いっきりドアを閉めた。
(何なの~アイツーー!!!)
私はあの人に対する苛々で頭がいっぱいだ。
別に言わなくても良い言葉を何故口に出すのか分からない。
(あっ...もしかしてあの人...)
私は歩いていた足を止めた。
あの失礼極まりない男は、確かどこかで見たような気がする。何処でだったか思い出せないが、とにかく絶対に見かけた事がある。