『私』という名の矛盾

私はそんな事を考えながら、教室に着いた。


その時、


「成ノ宮さん。」



後ろから、さっきの数学の先生にまた名前を呼ばれた。

私は仕方なく後ろを向き、先生と向き合う。


「体の調子は良さそうですね。今日は放課後、私のクラスに残って、数学の補習を受けてもらいます。」


(補習だと?)

私はとにかくこの補習から逃れるために嘘をつく、


「あの、でも、今日は本当に調子が悪くて...」


「本当に調子が悪いなら、歩けません。必ず今日は補習を受けてもらいます。」


「ちょっ...」


私が言葉を言い出す前に、鬼教師は去って行ってしまった。


わけが分からない。何故今日、補習を受けなければいけないのだろう。
授業は途中まで出ていたではないか。
それに何故、私をチラッとみッとみただけで、私の健康状態が分かるのだろうか。



「麗奈~。補習なんてすぐ終わるからだいじょーぶだよ~」
「がんばってー」


って、私の友達が言ってくる。

てきとうに返事は笑顔で交わして、いきなり、あの銀髪の男の子が誰なのかっていう事が頭をかすめた。



< 4 / 7 >

この作品をシェア

pagetop