『私』という名の矛盾


「何すか?」


「成ノ宮 麗奈って彼氏いんの?」



成ノ宮 麗奈...
確か、俺と同じ学年で、かなり美人で目立っている子だ。この前、廊下で一瞬すれ違って可愛いかったのを覚えている。俺の周りにも、彼女のファンや好きな人が多い。



「いやぁ~。分からないっすね~」

「まじかぁ」

「先輩、何でそんな事聞くんすか?」

「いやっ、べっ別にっ、俺らの高2でもかなり有名だからさ、彼氏いんのかな~って思って


明らか顔を少し赤らめて動揺している。


(先輩、面白いな~)


「あの子、清純っぽいですもんね。」

「それがさ、意外と色んな男と遊んでるんだってな」

「まじっすか!?」



意外だ...
あんなに、自分はいかにも清楚で美しいですオーラを放っている彼女が...



「まぁ、そんなところがまたギャップで良いんだけどなw」


(成ノ宮さん好きに決定だな、先輩)



それから先輩は、成ノ宮 麗奈の良さを話し始めた。

顔のパーツが良いやら、手足が長くて細いやら、身長が丁度良いやら、くびれが良いやら(見る機会あったのか)...
とにかく可愛いを連呼している。



俺は先輩の面白い話しを聞きながら、財布を鞄から取りだそうとしたが...


「忘れた!!!」


俺は財布を学校に置き忘れてきてしまった。


「あっ!先輩っ!!財布学校に忘れたんで、先に帰ってて下さいっ!!」



俺は学校に向かって走り出した。早く行かないと、警備員が学校を閉めてしまう。
とにかく財布がないと、PASMOやら何やらが入ってるから家に帰れないぞ。


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