『私』という名の矛盾
まだ俺たちは学校からあんまり離れていなかったから、ちょっと走ってすぐに着いた。
だけど、殆どの教室は電気が消されてる。
(部室にはなかったから、教室かな~)
俺は自分の教室に向かう事にする。
校舎に誰もいないと周りは沈みかえって、なんだか薄気味悪い。
このいつも歩いている廊下が、なんだか違う様に見えて、よくわからないが面白い。
(ん?俺の教室に誰かいるのかな?)
自分の教室だけ、灯りがついている。
多分、誰か消し忘れたんだろう。
俺はそんな事を思って教室に入った。
!?
なんと、教室で寝ている女の子がいるではないかっ!!
(何やってんだよ、こいつはぁ~)
俺は半分呆れ、その寝ている女の子を起こす。
「おーい。もう学校閉まるぞー」
「...。」
ダメだ。完全に寝ている。
声をかけるだけでは効果0だから、この子を揺する事にしよう。
「起きろよ~。出れなくなるぞ~...あっ!!」
揺さぶっていた手を止めた。
よく見ると、この女の子は例の、成ノ宮 麗奈ではないかっ!!
何故こんな子がここの教室で寝ているんだろう。
それにしても、寝ているだけで美人さが分かる。かなり長い睫毛、肌が白くて綺麗だ。
メイクはしているのか?
「あれっ?私、いつの間に寝てたの?」
いきなり彼女がムクッと起きた。
「今何時?あれっここ何処?うわっ!!君誰っ!?」
彼女はまだ寝ぼけていて動揺している。