ひと呼吸
就職・・・
「まだ、決まってないんです。」
「そうなんだ。不況っていうもんね」
「違うんです。」
「違うってなにが?」
「店長に、こんな話をしていいのか分からないんですが、
恐いんです。自分の将来を考えたら。
狭くて窮屈で、同じ箱の中にずっといるような気がして」
孝ちゃんが、どうかとか
どうでも良くなった。
店長に聞いて欲しかった。
「難しいなー
私は、とにかく就職しなきゃってみつけて
ここに入ったから・・・
先とか考えなかったからな。」
「店長は、どうして
こんなに、仕事にのめり込めるんですか?」
「夢がないからだよ。
だから、目の前の事に必死にしかなれないんだよ」
「夢か・・・」
「そう夢、みつけてる人って本当に羨ましく思うよ。
でもね、少し勿体無いかなって思う。」
「どうしてですか?」
「楽天的な考えかもしれないけど、
たとえば、目の前に人生を動かすような
大きなチャンスがあるとするじゃない?
まだ、若いのに夢を優先しすぎて
取り逃してしまうんじゃないかなって」
なにが、正しいかなんて
わからない。
でも、人の判断の基準が
ただ単純に幸せになるためと考えたら
きっと、選ぶべき本当の先が
見えてくるのかな?
・・・・
黙りこんでしまった私に店長は、
言ってくれた
「大丈夫、栄田さんは
人より時間をかけて考えれるから
あるべき道に進めれるはずだよ」