ひと呼吸
その腕を

家に帰ると、今まで溢れるように出ていた
クリーニング店の空間を考える気になれなかった。

ぼーっと無意識になれば
陵の事ばかり思った。

もしかすると、陵は皆にあんなドキッとするような事をしてるのでは?
と思ったり

もしかすると、陵は本当に性格が悪くて私を落としし絞めようと試みてるのでは、と考えたり

でも、どうしても
信じたかったのは、

私と向き合って話す時の
陵は本当の陵で
私を睨む時の陵は
しっかり私を見ていたと
思いたかった


本当のところは
陵にしか分からない

でも、私を取り巻く考えは
ずっと、陵が私を思っててくれたら・・・・

という願望ばかりだった



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