ひと呼吸

次の日も体が覚えてるように、

椎葉さんの事務所にいったが、鉛筆が走らず
陵の事ばかりが
やはり浮かぶ。
考えるのは、同じ願望ばかりで答えがでない。

いや、本当は答えなんて分かりきってる
でも、私の肩に埋めた陵の気持ちとか
いつも私に言う言葉の意味とか

考えると

全てが止まったかのような感覚になる


「那実ちゃん、どこ行ってんの。帰っておいで」


ポンッ!と丸めたノートで
椎葉さんが私の頭を叩いた

「おぉ!すみません!!!」

私だめだなぁ。向いてない。こんな恋愛みたいなの。
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