bitter sweet mind
女の子だって全員が全員料理を作れるわけじゃない。
その辺りのことは世間一般にもずいぶんと浸透してきているようで。
そこはまぁいいのよ。
問題は。
自分は世紀末的に下手なのに、彼氏が救世主的に上手いということなのだ。
まぁ救世主的というのはいい過ぎかもしれないけれど。
単純な腕でいえばマスターの方が上だとは思う。
でもね、確実にわたしの好みをついた味付けと料理を作ってくれるから、わたしからしてみたらそういうことになる。
で。
ともかく。
普段はそれでいいのよ。
草太からも(あ、わたしの彼氏の名前ね)調理器具は触るなってキツくいわれてるし(特に包丁とか)。
でもね。
バレンタインデーともなればそういうわけにもいかないじゃない?
ホントは、ね。
ちょっと高級なチョコを買ってあったの、すでに。
でも昨日、草太の部屋でのお夕飯の後(草太特製チゲ鍋だった)。
「なぁ、まゆみ」
「ん~?」
洗い物をしていたわたしの背中をとんとん、と叩く彼の声。
あ、料理が作れないから食器の用意とか洗うのはわたしの役目なのね。
それはそれとして。
お気に入りのフリフリピンクのエプロンで手を拭いてから振り返ると草太はテレビを観てて。
そこには、