扉の向こう
お人形
「いらっしゃいませ。お嬢さんお一人ですか?」

「あのね、ロズちゃんとおしゃべりしたいの」

「ロズちゃん、とは・・そちらのお人形さんのことでしょうか?」

「うん。ちぃちゃんね、お友達なの。ママもパパもちぃちゃんと遊んでくれないからね、ロズちゃんとおままごとしてるの」

「そうなんですか」

「でもね、おしゃべりはひとりなの。ロズちゃん、おしゃべりしてくれないの」

「なるほど・・。では、ロズちゃんがお話できるようにしてあげましょう」










「どうです?ロズちゃん、気分のほうは」

「ロ、ズちゃん・・?」

「そうですよ、あなたのお名前だと先ほど教えていただきましたが」

「・・これ、なに?」

「あぁ、お人形ですよ。『ちぃちゃん』っていうんです」

「もらっていい?」

「えぇどうぞ。あなたのものですから」




















「やれやれ、今回は報酬がありませんでしたね。これだから子供相手は面倒なのですが・・しょうがないですね。まぁしかし、魂のない人は人形と変わりませんが、案外、魂のある人形は・・不気味なものですね」







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